より強く漕ぐ方法

HOW TO ROW HARDER

Concept2エルゴメータを用いたトレーニングでは、強度や時間をご自身で決めていただくことが可能です。ダンパーのセッティングやどのくらい強く、速いペースでエルゴを引くかによって、自在にトレーニングのレベルを変えることができます。強度を上げるために重要なのは、どうやってそれをモニタリングするか、そしてどのように、いつパワーを上げるか、ということです。

強度のモニタリング

パフォーマンスモニターの最大の長所は、ストロークごとにペースや強度に関するフィードバックを受けることができるということです。500 mごとのペースが表示されている場合、その表示時間は同じペースで500 mを漕いだら何分かかるか、ということを示しており、強い強度の場合は小さい時間が表示されることになります。2:00/500mと表示される人は、2:08の人より速く、1:48の人より遅いということです。また、カロリー表示をしている場合は、逆に値が大きい場合において大きなカロリーが表示されるということになります。

レート

ストロークレートとは、1分間に何回漕いでいるか、を意味する数字です。PMのディスプレイの右上に表示されます。ただし、レートが高いからと言って強度も高くなっているとは一概には言えないことに注意してください。強度を上げる際には、レートは24-30とすることをお勧めいたします。また、レースにおいてはレートは36を上回らない方がよいでしょう。

力の緩急をつける

レートを一定に保つために必要なことは、ドライブとリカバリーの裏表を明確にして漕ぐことです。ドライブにおいては、脚、背中、そして腕という流れで力を加えていきます。一方リカバリーにおいては、一切の力は不要であり、リラックスして次のストロークに備えることに集中します。ドライブ-リカバリーの比率は、一般には1:2とすることがよいでしょう。リカバリーをドライブの2倍程度とることは非常に重要です。必要なら、当社の技術動画や「強い強度で漕ぐ」の項をご覧ください。

始め方

トレーニングを開始する前に、免責事項を必ずお読みください。

強度の高いトレーニングを行う際は、強度の低いトレーニングの中に強度の高いトレーニングを入れていくことが重要です。以下に一例を示します。

  • 10秒チャレンジ:長い時間のローイングの中に、10ストロークの全力漕ぎを入れる。
  • アクセル:10-15ストロークかけて、徐々に強度を上げていく。
  • ピックアップ:長い時間のトレーニングの中で、500 mごとに20ストローク(45秒)の強調を入れる。
  • オルタナティブ:20秒強く引く、1分40秒リラックスして引く。トルクのタイムが5秒以上上がるようにする。

ダンパーのセッティングにかんする勘違い

多くの方がダンパーを抵抗力の大きさの設定だと誤解しています。しかし、運動の強度を決めるのはあなた自身です。すなわち、脚・背中・腕の筋力をどれだけ伝えるかが重要になります。ダンパーのレベルに抵抗の大きさは関係ありません。フライホイールの回転が速くなれば、それだけ抵抗も大きくなります。

これは水上で考えるとわかりやすいかもしれません。レースように設計されたシェル艇であろうと、公園ボートであろうと、力を加えなければ艇が進まないということに変わりはありません。ただ、艇の加速感に差が生じます。競技用のボートでは、艇を進めるためにスピードのある漕ぎが必要とされますが、公園ボートではゆっくりと力を加えることが多いかと思います。

ダンパーの設定が1-4では、レース用のシェル艇を漕いでいるような感覚となり、それより大きいダンパーは、公園ボートを漕ぐようなイメージです。設定値にかかわらず、強度を上げるためには、自分で努力しなければいけません。

ドラッグファクター – 努力値を正しく見積もるために。

ダンパーの数値設定を高くすることで、記録を伸ばすことができると考える人がいるかもしれません。これを確かめるために、パフォーマンスモニターが役に立ちます。

各ストロークの間において、PMはどのくらいその「艇」が滑らかに進んでいるか、減速しているかを測定します。この減速量の測定がドラッグファクターと呼ばれるものです。次のストロークでは、PMはドラッグファクターを用いてあなたのストローク強度を計算します。このようにして、ダンパーのセッティングにかかわらず、正しいスコアが算出されるのです。この自己調整システムにより、多くの大会での公平性が保たれています。

エルゴメーターによって、ドラッグファクターのレンジは多少異なります。普段使うエルゴのダンパーが3であっても、それが別のエルゴでは4のものであるように感じることがあるかもしれません。気温や、空気に混入している物質によってもドラッグファクターは変化しまう。異なるマシンを使用するときにはドラッグファクターを確認してみるのがよいでしょう。詳しくは、ドラッグファクターの確認方法の項をご確認ください。

どのダンパーを使うべきか

何回か実験を繰り返すことで、最適なダンパーはすぐに見つかると思いますが、はじめは3から5の間に設定することをお勧めします。技術を身につけることに集中する場合には、ひくい数値にしたほうが良いでしょう。あまり高く設定しすぎると、体がエネルギーを利用しきる前に、筋肉を壊すことにつながります。パフォーマンスモニターは1ストロークごとにフィードバックが表示されますから、最適なダンパーを選ぶヒントにしてください。

トレーニングの目的に応じてダンパーの設定を変えることも必要です。一般に、持久力の向上を目的とした有酸素系のトレーニングには低いダンパーが、強度の高さを求めるトレーニングには高いダンパーが有効となります。